3Dコンソーシアム -3D新時代“驚きから感動へ!”-
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全体活動報告
2003年12月17日
2003年11月26日
2003年10月30日
2003年9月10日
2003年9月10日
2003年7月30日
2003年6月25日
2003年5月28日
2003年5月28日
2003年4月16日
2003年3月4日
「3Dコンソーシアム勉強会」「安全/ガイドライン部会」報告
2003年12月17日
映像の生体影響(回旋眼球運動)について講演する鵜飼氏
勉強会は、「快適な3D映像をめざして」をテーマに大学、研究機関から6人の講師を招いて講演が行なわれた。講演内容は「人間の3D知覚」「疲労の少ない3Dディスプレイ」など、映像と生体とのかかわりについて、各分野の最新の研究成果がわかるものとなった。勉強会に先立って「安全/ガイドライン部会」が開催され、活動状況についての説明があった。なお、勉強会への出席会員数は34会員(50名)であった。


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「2004年へ向けてのコンソーシアム活動報告」
谷口事務局長
当コンソーシアムの最近の活動状況あるいは活動予定についてご報告させていただきます。12月に入って福岡において開催されましたインターナショナル・ディスプレイ・ワークショップ(IDW)、あるいは静岡において開催されました日本光学会の年次学術講演会などで3Dコンソーシアムとしてのメッセージを伝えさせていただきました。


3D技術が生活を変える

さらに昨日は、「3D技術が生活を変える!」というテーマで、東大安田講堂において読売・東大知識の構造化シンポジウムが行なわれました。このシンポジウムのポイントだけを説明させていただきます。当コンソーシアム賛助会員の伊東乾先生(東大助教授)が総合司会をされ、小宮山宏先生(東大副学長)や石井威望先生(東大名誉教授)が基調講演をされました。

小宮山先生は、領域が細分化する一方で情報が氾濫している状況、このことが全体像を見えなくしているのではないか、だから知識の構造化が必要であるという論旨の講演内容でした。この知識の構造化には3Dの表現も含まれるとのことです。石井先生は、「パラレルリアリティ」と「キュービタル」という概念を披露されました。パラレルリアリティとは、異なった場所を常にパラレルに見ることによって何かが起こるという仮説。キュービタル(立体)とは、デジタルは2次元の世界だが今後は次元を超えてものを見るデジタルに対抗する新しい概念として紹介されました。

その後のパネルディスカッションには当コンソーシアムの片山幹雄会長が参加、今回のシンポジウムに対してのメッセージをいくつかさせていただきました。まず当コンソーシアムのミッションといいますか、3D市場の健全な発展をめざして150を超える企業・団体が、そのノウハウを持ち寄って市場形成に力強く歩み出したという報告。そして3D表現、3Dならではの有効性、たとえば教育分野・医療分野あるいは科学の領域で利用促進を図りたい。つまりこれは人間と自然の共生ではないかという提言。またこれらの取り組みを実現していくために、産学の連携については来年は従来以上に力を入れたいと。日本から世界へ発信する、日本が世界のフロントランナーになってやっていこう、こんな呼びかけを3Dコンソーシアムとしてさせていただきました。

読売・東大知識の構造化シンポジウムにおけるパネルディスカッション


この他にも、スポーツ医学のイメージトレーニングで、トップアスリートを育成するのに新しい3Dディスプイは有効ではないか、とのお話もありました。これら講演内容は、読売関連のホームページに紹介され、あるいは特別のチャンネルでも放送されると聞いておりますのでご案内いたします。


2004年度のスタートイベント

今後の予定ですが、2004年の2月4日〜6日に日本印刷技術協会主催の「PAGE2004」が開催されます。日本印刷技術協会はかねてより3Dコンソーシアムの活動に着目しており、今回当方に対して展示エリアの無償提供の申し出がありました。展示コンセプトとして、3Dコンテンツが「制作」され、「編集」され、「表示」される各ステージをわかりやすい形でお見せするのはどうかと考えております。さらに3D印刷なども含めて、多くの人に「3Dはおもしろいね」との関心を持ってもらいたい。2004年度のスタートイベントと位置付けています。

そして2月24日には、当コンソーシアムの年次総会を開催しますが、記念講演・シンポジウムを企画しております。ここでも新しい着想の企画をすすめておりまして、実写の3Dコンテンツは感銘を与えるというか、ジャストフィットするものが少ないのが現状です。たとえば写真集団STEREO CLUB TOKYO(当コンソーシアム賛助会員)に協力いただいて、3D写真にこだわって撮った作品を展示するとか、こうしたことが3D表現への理解と市場の盛り上がりにつながればと考えております。


京都府から全国各県への展開

最後に、京都府が推進する「デジタル疎水ネットワーク」へのアプローチについても、その後の経緯をご報告させていただきます。京大・松山隆司先生(当コンソーシアム賛助会員)のご紹介により3Dコンソーシアムとしての提案活動を行なってまいりましたが、11月のキックオフイベント(展示会)にも参画して、知事さんをはじめ府庁幹部の方々に3Dというのはこういう可能性を秘めているということをご説明させていただきました。いずれにしてもこうした遠大な事業計画にスタート時点から我々が関与できたことに意味があります。

「デジタル疎水ネットワーク」へのアプローチは、我々3Dコンソーシアムメンバーの活動におけるベクトル合わせとしてご提案をさせていただいたのですが、まずはスタート位置に着くことができた。今後は3Dの活用といったフェーズに入っていきたいと考えておりますので、会員の皆様から具体的なアイデアと実践的なコンテンツのご提案をいただきたい。しかし京都府の事業は一例であって、「e-Japan重点計画」の展開の中で各県が同様の動きを行なおうとしております。ならば我々も横展開が可能なテーマ、e-Japan重点計画に入り込める切り口として認識をしたいと。

以上、本日の勉強会冒頭のごあいさつに代えて、最近の活動状況をご紹介させていただきました。


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3Dコンソーシアム勉強会
「人間の3D空間知覚」−単眼による奥行き知覚−
斎田真也氏
独立行政法人産業技術総合研究所 人間福祉医工学研究部門 部門長

「疲労の少ない3Dディスプレイの可能性」
奥山文雄氏
鈴鹿医療科学大学 医用工学部医用情報工学科 教授

「映像の生体影響と瞳孔、調節、眼球運動」
鵜飼一彦氏
早稲田大学 理工学部応用物理学科教授

「映像の自律神経系へ及ぼす影響とその評価法」
 −圧反射系の非定常性と非線形性の積極的な利用−

吉澤誠氏
東北大学 情報シナジーセンター 先端情報技術研究部教授

「映像社会と健康安全」
板東武彦氏
新潟大学大学院 医歯学総合研究科教授

「映像の生体影響と国際標準化」
氏家弘裕氏
独立行政法人産業技術総合研究所 人間福祉医工学研究部門 主任研究員

「人間の3D空間知覚」
−単眼による奥行き知覚−



独立行政法人産業技術総合研究所 人間福祉医工学研究部門 部門長
斎田真也
最初に「距離」と「奥行き」との定義を確認しておきたい。「距離」とは観察者から対象物体までの隔たりのことで、絶対距離をいう。「奥行き」とは二つ以上の対象物体相互の隔たりのことで、相対距離をいう。これら二つを正しく知覚することで三次元空間知覚が成立する。これらを知覚するための視覚的手がかりとして、パターン認識を必要としないもののうち、静的では調節、輻輳・開散、両眼視差があり、動的では運動視差、プルフリッヒ効果がある。また、パターン認識を必要とするもののうち、静的では既知対象の大きさ、網膜像の大きさ、きめの密度勾配、遮蔽または重なり、陰影、線遠近法、大気遠近法があり、動的では運動性奥行効果、回転立体視などがある。

この中で、立体表示として重要視されている両眼視差には注意が必要である。まず両眼視差は奥行きの知覚を生み出すことは出来るが距離情報としての手がかりにはなり得ない。また奥行き情報が提示された場合は調節との乖離が生じてしまう。そして、両眼視差能力のない人や弱い人が約1割近くもいるが、これらの人々は普段の視覚体験において両眼視差以外のたくさんの視覚的手がかりを用いているので、自分自身が両眼視差機能に異常があることに気づいていない。したがって、両眼視差のみで立体表示を行なうことは、新たな差別問題にもなりかねない。

人間は「距離」と「奥行き」を認識する機能がたくさん備わっており、そのなかから複数の機能を組み合わせることにより、さらに人間は絶えず運動しているので静的な情報に運動が加わることにより、さらに現実感のある三次元空間を知覚している。


◎講演用データ saita01.ppt&saita02.ppt(zip圧縮データ【3.9MB】)

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「疲労の少ない3Dディスプレイの可能性」




鈴鹿医療科学大学 医用工学部医用情報工学科 教授
奥山文雄
三次元立体映像と二次元映像とが視覚機能に与える影響について、視覚機能検査とアンケート調査によって比較調査した。その結果、立体ディスプレイは二次元ディスプレイに比べ、眼位、調節近点と調節力の視覚機能に与える影響が大きく、眼精疲労、目の痛み、涙目の訴えが多かった。また、休憩によって視覚疲労が回復することがわかった。以上から、立体ディスプレイの評価には視覚機能検査やアンケート調査が有効であると考えられる。

実験によると3D映像は二次元映像より視覚疲労が大きくなっているが、その解決法はあるのだろうか? 解決へのアプローチとして、調節と輻輳差の小さい表示方法や輻輳で画面を移動させる方法が挙げられる。

さまざまな問題点がクリアになり、疲労の少ない3Dディスプレイの可能性はあるが、具体的な解決法は今後の研究・開発になるだろう。これらを踏まえると、従来の技術に依存しない創造的な発想が必要なのではないかと感じる。


◎講演用データ okuyama.ppt(zip圧縮データ【2.0MB】)

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「映像の生体影響と瞳孔、調節、眼球運動」




早稲田大学 理工学部応用物理学科教授
鵜飼一彦
眼精疲労、映像酔いは主観評価の部分が大きいので、それを科学的にしようということで、TVモニタとHMDの変化の差を実験し、そのアンケート結果を因子分析してみた。それによると、眼精疲労も映像酔いも、HMDの方が悪いことがわかった。さらに3D映像の客観測定をすると、視聴時には調節が反応している、輻輳は必要量よりやや小さいという結果が得られた。調節と輻輳の矛盾は大きくないが、調節必要量と調節反応が矛盾しているので、これが眼精疲労の原因になると考えられる。

次に、回旋眼球運動のさまざまな測定を行なっている。回転映像の酔いやすさが目の回りやすさに関係があるということがデータに出ている。さらに、映像視聴中の瞳孔および眼球運動のリアルタイム測定を行なった。瞳孔では映像の明るさに反応するが、それ以外に自律神経系によっても反応することが表れた。つまり興奮のときには解瞳し、安静のときには縮瞳するということがわかった。

主としてフィールドで使用可能な眼球運動測定装置を開発しており、少しずつ結果も出てきている。


◎講演用データ ukai01.pdf&ukai02.pdf(zip圧縮データ【3.7MB】)

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「映像の自律神経系へ及ぼす影響とその評価法」
−圧反射系の非定常性と非線形性の積極的な利用−



東北大学 情報シナジーセンター 先端情報技術研究部教授
吉澤誠
映像刺激の生体影響には、テレビジョンやゲーム機、パソコン、3Dシアター、VRシテム、テレビ付携帯電話などのデバイス、長時間の凝視、光点滅、空間パターン、オプティカル・フロー、前庭感覚との矛盾、不自然な立体視、心理的・精神的要因などの刺激の種類が関係し、眼科的症状、自律神経系の不定愁訴、光感受性発作、VDT症候群、ストレス、動揺病、生理的変化などの症状が現れる。

自律神経系支配は心理的・精神的状態を反映して変化する。自律神経系には複雑な相互作用があり、総合的な解析の必要性があるが、われわれは非侵襲で計測が容易な循環器系・呼吸器系パラメータで測定している。

一般に安静時には、圧反射機能が正常に働き、血圧と心拍数の相互相関が高く、それらの間の最大相互相関係数ρmaxおよびコヒーレンシィが高い。それに対し、映像刺激があたえられたときには、ループ・ゲインが変化するか、あるいは心拍数が血圧に無関係に変化したり血圧が心拍数に無関係に変化する結果、ρmaxおよびコヒーレンシィが低下するようになる。また、手ぶれ映像提示実験では、ρmaxおよびコヒーレンシィが映像酔いの評価に適用できる可能性がある。

次に複数被験者に対し,強い情動反応を誘発すると思われる映像を同時に提示する実験を行なった結果、血圧を直接計測するの代わりに脈波伝達時間を使ったρmaxでも評価可能であることがわかった。

今後の展開として、複数同時実験の推進、ρmaxの低時間分解能の解決、多様な映像ディジタルコンテンツのモニタリングやレイティングを一度に行なえるようなシステムの構築などを目指しているところである。


◎講演用データ yoshizawa.ppt(zip圧縮データ【6.4MB】)

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「映像社会と健康安全」




新潟大学大学院 医歯学総合研究科教授
板東武彦
VDT症候群に関しては1985年に労働衛生上の指針が決定され、2002年に改訂、新ガイドラインが発表された。また、PSEに関しては1994年、イギリスでITCガイドラインが作られ、日本では「ポケモン事件」をきっかけに1998年に民放連によって「自主規制」が行われた。さらにイギリスでは2001年、ITCガイドラインを改訂、2002〜03年にはTV映像の安全ガイドラインへの動きが見られる。

さらに高性能の大画面映像、高機能の携帯電話、インターネットの普及などによって、健康を守るための新ガイドラインの必要性が考えられる。映像についての健康安全を守るプロジェクトは国公立研究所、国公私立大学、映像関連メーカーなど、広範囲の専門が集まり、連携を取りつつ基盤を築かないと解決しないように考えられる。

そのプロジェクトでは、ガイドラインデータベースを踏まえて、危険度自動評価装置を作りたいと考えている。それには、被験者実験を行ない、医学的検査法を使って映像視聴が起こす影響を調べ、映像の生体影響について分析し、危険度判定ルール、インパクト判定ルールのソフトを作ることが必要である。

危険度自動評価装置によって、制作者は本人の意図にそって、インパクトがあり、安全な映像を発信することができると考えられる。また、視聴者も安全な映像が視聴できるというわけである。


◎講演用データ banto.ppt(zip圧縮データ【580KB】)

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「映像の生体影響と国際標準化」




独立行政法人産業技術総合研究所 人間福祉医工学研究部門 主任研究員
氏家弘裕
基準認証研究開発事業の目標は、映像の生体安全性評価法を開発し、その国際標準を確立することを目的とする。そのために、映像の生体影響について、これまでに得られている「光過敏性発作」、「映像酔い」等の生理的、心理的影響についての知見をさらに発展させるべく、体系的データ収集を実施する。考慮すべき生体影響としては「光感受性発作(PSE)」「映像酔い」「3次元映像等による眼精疲労」が挙げられる。

さらに後半では、映像パターンによる映像酔いへの影響を考察する。この研究の目的は、身体運動についての視覚情報と非視覚情報とのどのような矛盾が、酔いを引き起こすのか? 予測性などの要因を分離する方法はないのか? ということを考える。

それには、視覚運動パターンによる映像酔いへの効果を明らかにする、情報矛盾による映像酔いを他覚的に測定する方法について探ることが必要である。実験1として「視覚運動パターンによる映像酔いへの効果」、実験2として「映像パターンによる映像酔いへの効果」、実験3として「映像酔いと回旋眼球運動」を実施し、それぞれの実験報告を行なう。


◎講演用データ ujiie.pdf(zip圧縮データ【544KB】)



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