講演の内容と分担
前半)今井担当分
3Dコンテンツを「正しい奥行き」で、かつ「簡単に」作るための基本的な考え方(SmartStereoプロトコル)の紹介
・2台のカメラをいかにコントロールするか
後半)高橋担当分
3Dコンテンツの具体的な作成方法
・注意すべき点
・CGパッケージを使った具体的な作成方法
(3dsMax、Photoshopによる開発事例紹介)
快適かつ安全な3D表示のためには…「表示装置」「コンテンツ」をきちんと区別する必要がある。
「表示性能はOK」「表示コンテンツはOK」のときに「快適で安全」となるが、この条件の検討が進んでいない、周知徹底されていない。
目的は「快適かつ安全な3D表示」を簡単に、汎用的に作る方法の提示。もっとも大きな要因は「適切な奥行きコントロール」にある。
シャープ3D液晶の特性は以下の3点。
- 作成する画面は2つ…右目用画像と左目用画像
- 左右2画面の絵が正しく見られる位置は固定されている…最適に3D画像が見られる位置は、前後左右に固定されている
- 様々な大きさでのディスプレイ(携帯電話、PCなど)をラインアップする予定である…各ディスプレイのドット数、ドットピッチ、最適視認距離は異なる
●左右画像のズレによる奥行き表現
左右画像の水平方向のズレ(ドット数)によって、奥行き感はコントロールできる。ただし、奥行き感は、ディスプレイの最適視認距離、解像度などによって異なる。
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Q:左右画像をどうやって/どれぐらいズレたものとして作ればいいのか?
A:「左右のカメラ間距離」を適切に計算して求め、その適切な位置にカメラを配置して、2画面を撮影(作成)する
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●SmartStereoプロトコルがなぜ必要か?
1)安全性・快適性の観点から
- 3D液晶に表示できる奥行きには「制限」を設ける必要がある
- 一定限度を超えた奥行き表示は以下の点で問題になることがある
目の疲れの原因になる うまく立体に見えずに、二重に見えたりする
2)効果的なコンテンツを、効率よく作る立場から
- 奥行きを「左右画像の水平方向のずらし量」で調整する手法では、直感的ではない。コンテンツ作成者が奥行きを指定するのは「左右画像のずらし量」で指定するのではなく、「奥にxxcm」、「手前にxcm」と指定したい。
- c.f. 色を指定するのはカラーパレットで色を見て決めたい。color=“#cc0033”などという指定が直感的ではないのと同じ。
- 表示できる奥行き範囲を安全上制限すべきであるならば、その奥行き範囲を「目一杯使いたい」と思うが、そのために何ドットずらせばよいのかが分からない。
3)いろいろな大きさ・最適視認距離のディスプレイに共通に使う立場から奥行きを「左右画像のずらし量」で調整する手法では、最終的に「どれだけ飛び出す」か「どれだけ引っ込むか」がディスプレイによって変わってくる。
●SmartStereoプロトコルを実装したシャープのプログラム
- OpenGL拡張用ライブラリー(StereoGL)
二つのCGカメラの適正配置を行い、2画面生成・合成してリアルタイム表示
- 3D Studio Max用プラグイン
二つのCGカメラの適正配置し、2画面画像を生成する これをベースに情報(事本)にてSoftImage用プラグイン作成中
- VRMLビューワー
VRMLモデルに対して二つのCGカメラの適正配置を行い、2画面生成・合成してリアルタイム(インタラクティブ)表示
- カメラカリキュレーター
前述の例のように作業を自動化しない場合、単にカメラ間距離を計算するために用いる。
- 計算して得られた左右カメラ間距離に応じて、2つのカメラをセットする
- 画面画像の生成・合成は別途手動で行う
- 実写のカメラであっても良い
●SmartStereo プロトコルを実装すると
例えば、OpenGL拡張用ライブラリー(StereoGL)
二つのCGカメラの適正配置を行い、2画面生成・合成してリアルタイム表示する
CGカメラの適正配置は液晶の解像度、最適視認距離によって変わるが、ゲームなどのプログラマーは…
- 奥行き間は「手前 xx cm」、「奥 xx cm」で指定する(CGカメラ間距離を指定するのではない)
- ディスプレイに依存しない奥行き感のプログラムが書ける
前半・今井担当分まとめ
- SmartStereoプロトコルとは、2画面生成のためのカメラ間距離計算するための「手順」であり、この考え方を導入することにより、適切な奥行きをコントロールできる
- この考え方により、コンテンツのディスプレイ依存性を減らすことができる。
- 3DCGによる静止画の場合、モデルの再利用(再レンダリング)で対応する
- 3DCGのリアルタイムレンダリングの場合、レンダリング処理ごとに適切なカメラ間距離を設定する
●SHARP 2D/3D切替液晶について
- 3D表示時
視差バリアにより光が分離され、左右の眼には異なる光が届くため、立体的に見える
- 2D表示時
スイッチ液晶により視差バリアを制御し、光を透過させることで左右の眼に同じ光が届き、2D画像に見える
●3Dイメージの制作概念
携帯電話SH−251isでの表示を例にとって説明すると…
- 3D内蔵コンテンツの場合は「左目のイメージ」「右目のイメージ」を準備しておき、合成処理にて表示する
- 撮影したコンテンツをプログラムにてリアルタイム処理して表示する
●ステレオイメージの9つのチェックポイント
裸眼立体視するためには、
- 左右イメージが「ステレオコンテンツ」であること。
- 一左右イメージに適切な視差があること。
チェックポイント
- 左右イメージが同じモチーフであること
- 左右イメージが同じ輝度(明るさ)であること
- 左右イメージの被写体が同じ高さにあること
- 左右イメージの被写体が同じ高さにあること(回転してはならない)
- 左右イメージで写りこみ(屈曲など)が異なるとき、ちらつく原因になる
- 左右イメージが同じ解像度であること
- 左右イメージが鮮明な画質であること
- 左右イメージ内に1ピクセルのアートワークは避けること
- フレームアウトする被写体には注意が必要
(画面手前に出てくるオブジェクトがフレームアウトする場合問題あり)
●ステレオイメージ被写体の位置概念
撮影されたイメージ(ステレオイメージ)の簡易判断方法として3D−Vのルール(SHARP3Dコンテンツ)がある。
- 左イメージ内
オブジェクトが左に移動すると奥に見え、右に移動すると手前に見える
- 右イメージ内
オブジェクトが右に移動すると奥に見え、左に移動すると手前に見える
●3D液晶に最適なイメージを作るためには?
3D液晶ディスプレイの技術条件を考慮する。
3dsMax使用時(搭載する商品・液晶パネルにより異なる)
- 液晶パネルの物理寸法…表示エリアのタテ・ヨコの寸法
- 液晶パネルの解像度…表示エリアのタテ・ヨコのピクセル数
- 最適視認距離…視点から液晶パネルまでの距離
- 両眼間距離…左目と右目の距離
- 被写体の奥行き設定…液晶パネルを中心に手前・奥行き設定をする
●3DCGによる制作事例紹介(3dsMax)…※省略
●2DCGによる制作事例紹介(Adobe Photoshop)…※省略
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