講演の要旨
●ディスプレイのマクロトレンドと21世紀のディスプレイ
ディスプレイは20世紀(100年間)で様々な進化を遂げてきたが、その追求のポイントは次の3点に大別される。
映像効果追求→高臨場感ディスプレイ
視認性追求→究極高精細ディスプレイ
利便性追求→ウエアラブルディスプレイ、電紙ディスプレイ
●高臨場感とは何か
人間本来の視覚(知覚)は180度以上の奥行き知覚を伴って空間を捉えているのに、ディスプレイはある特定の閉じた2次元しか再現できなかった。これがディスプレイの技術の進展で本来の姿に近づくことが「高臨場感」といえる。
高臨場感表現の要素は、「あたかもそこにいる/ある」ように感じさせるための「広画角」と「立体視」である(将来は「インターラクティブ/マルチモーダル」も重要な要素となる)。画角は広げるほど臨場感は高まる。
高臨場感(ハイパーリアリティ)は、「スーパーリアリティ(実写)」、「バーチャルリアリティ(CG)」「ミックスリアリティ」の要素からなる。ITの進展により、ブロードバンド化が進み、高速インフラに乗せる魅力的なコンテンツが期待されている。産業構造も、「デバイス型」から「システム型」へ移行する。高臨場感ディスプレイとして3Dシステムには大きな期待が込められている。
●両眼視差の不足点
焦点調整と輻輳が一致しない
運動視差に追従できない→多眼方式はソリューションのひとつ
多眼方式の発展系として、IP(複眼)方式や超多眼方式があり、水平/垂直方向に運動視差を持ち、焦点も一致することができるようになりつつある。
●高臨場感ディスプレイ/映像ディスプレイシステムの産業的課題
「ハードウエア」、「コンテンツ」、「サービス(プラットフォーム)」、「ソフトウエア」は個々にはかなりのレベルになっているがスパイラルに絡まなければ実現しない。3Dコンソーシアムもこの動きに寄与できると、期待している。新しい映像の創生に期待している。
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